ISBN:4062647648 文庫 沢田 教一 講談社 1999/11 ¥630

 大学生協で入手した。

 沢田教一の名前を知らない人は結構いると思うが、世界史を勉強したことのある人なら、おそらく教科書で、彼が撮ったベトナム戦争の写真(ピュリッツアー賞受賞)を見たことはあると思う。
 
 沢田は、ベトナム戦争の最前線で命をかけて写真を撮り続けた。その後、カンボジアに行き、そこで34歳という若さで銃弾に倒れた。

 彼は「真実は現場にしかない」という言葉を残しているそうだが、写真を見ても、その信念がひしひしと伝わってくるようだ。

 サイゴン中心部にある戦争証跡博物館に展示されている、沢田の撮った逃げ惑う親子の写真は、一際目を引いていたように思う。
 観光地めぐりの一環として訪れた人達にとっては、見るに耐えない写真やホルマリン漬けの胎児が山のように展示されている中でも、沢田の写真だけは違う光を放っているように思えた。

 戦場で、バタバタ人が死んでいく中で、彼は何を思いながら、シャッターを切っていたのだろう。

 ベトナム人に、ベトナム戦争のことを聞いても、長々と語る人は、まずもっていない。ただ、青春の大半が戦火に怯える日々だった・・といったことを手短に語る程度だ。

 毎日、大学に通うとき、統一会堂の前を通っていた。しかし、今では、わずか30年ほど前に、ここに戦車が突入してサイゴンが陥落し、ベトナム戦争が事実上終わったことも容易には想像が出来ないくらいに、物やバイクが溢れている。

 もしも沢田がこの光景を見たら、どう思うだろうか。

 
 

 

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杏

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